はじめに
「AIエージェントを作りたいけど、Difyとn8n、どちらを選べばいいのか分からない…」
そんな悩みを抱えていませんか?私たちも最初は同じでした。両方とも「ノーコード/ローコードでAIワークフローを構築できる」と謳っていますが、実際に触ってみると思想も得意分野もまったく違うツールです。
この記事では、実際に両ツールを業務利用した経験をもとに、機能・料金・日本語対応・学習コストを正直に比較します。読み終える頃には「自分にはどちらが合うか」が明確になっているはずです。
30秒でわかる結論
| こんな方には | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| AIチャットボット・RAG・社内Q&Aを最短で立ち上げたい | Dify | LLM特化型。プロンプト管理・RAG・ナレッジベースが標準装備 |
| 業務システム間の連携・既存業務の自動化が主目的 | n8n | 500以上のサービス連携。AIノードも組み込み可能 |
| 非エンジニアでもAIアプリを作りたい | Dify | UIが直感的。プロンプトテンプレートが豊富 |
| エンジニア/DevOps/セキュリティ自動化 | n8n | JavaScript・Python実行、Git連携、セルフホスト無料 |
| 完全無料で自分のサーバーで運用したい | n8n | Community Editionが100%無料(セルフホスト) |
Difyの特徴・料金・日本語対応
Difyとは
Difyは、LLMアプリケーション開発に特化したオープンソースプラットフォームです。GitHub上で14万スター以上を獲得し、世界で100万以上のアプリが稼働しています(公式発表)。チャットボット、AIエージェント、RAGパイプライン、ワークフローを「LLM中心の世界観」で構築できるのが特徴です。
主な機能
- Agentic Workflow: ノードベースでAIエージェントの思考プロセスを設計
- RAGパイプライン: PDF・Notion・Webからナレッジを取り込み即座にQ&A化
- マルチLLM対応: OpenAI、Anthropic、Gemini、ローカルLLM(Ollama)まで切替可能
- MCP連携: Model Context Protocolネイティブ対応で外部システムと接続
- Marketplace: 他のユーザーが作ったテンプレートを流用可能
料金プラン(2026年時点)
| プラン | 月額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Sandbox(無料) | $0 | 200メッセージクレジット、コア機能の試用 |
| Professional | $59〜 | 5,000メッセージクレジット/月、APIレート制限なし、小規模チーム向け |
| Team | $159〜 | 大規模チーム向け、ワークスペース複数 |
| Enterprise | 要問合せ | オンプレ・SSO・カスタム契約 |
| セルフホスト | 無料 | オープンソース版を自社サーバーで運用 |
※最新の価格はDify公式サイトでご確認ください。
日本語対応
UIは日本語に完全対応しており、設定画面・ドキュメント・エラーメッセージまで自然な日本語で表示されます。リコー社が全社展開している事例(19,000人以上の社員向けQ&Aボット)もあり、日本企業での導入実績は豊富です。
n8nの特徴・料金・日本語対応
n8nとは
n8n(エヌエイトエヌ)は、技術系チーム向けのワークフロー自動化プラットフォームです。GitHubで19万スター以上、200,000人以上のコミュニティを持ち、G2でも4.9/5の高評価を獲得しています。Zapierのような業務自動化ツールにJavaScript/Python実行機能とAIノードを組み合わせた「コード × ノーコード」のハイブリッド設計が最大の特徴です。
主な機能
- 500以上のインテグレーション: Slack、Notion、Salesforce、Google Workspace、AWS等
- AIノード: OpenAI・Claude・LangChain連携を標準搭載
- コード実行: ワークフロー内に直接JS/Pythonを記述可能
- セルフホスト無料: Docker一発でオンプレ運用可能
- エンタープライズ機能: SSO SAML、LDAP、RBAC、監査ログ、SIEM連携
料金プラン(2026年時点)
| プラン | 月額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Community(セルフホスト) | 無料 | 機能制限なし、完全オープンソース |
| Starter(クラウド) | $24前後 | 小規模・個人向け、基本機能 |
| Pro(クラウド) | $60前後 | チーム向け、高度な機能 |
| Business | $800前後 | 大規模チーム向け、SSO等 |
| Enterprise | 要問合せ | 大企業向け、専任サポート |
※n8nは「実行回数(execution)」課金です。最新価格はn8n公式サイトでご確認ください。
日本語対応
UIは英語ベースですが、ノード設定の入力値や処理内容は日本語データを問題なく扱えます。日本語ドキュメントは公式には少なめですが、コミュニティ翻訳と豊富なYouTubeチュートリアルでカバー可能です。
徹底比較テーブル
| 比較項目 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| 主な用途 | LLMアプリ・AIエージェント開発 | 業務自動化・システム連携 |
| 料金(最安有料) | $59/月〜 | $24/月〜 |
| 無料プラン | Sandbox(200クレジット) セルフホスト無料 | クラウドは試用のみ セルフホストは完全無料 |
| UI日本語対応 | ◎ 完全対応 | △ 英語UI(データは日本語OK) |
| 学習コスト | 低(プロンプト中心) | 中(ノード概念の理解必要) |
| コード記述 | 限定的(コードノードあり) | ◎ JS/Python自由 |
| RAG機能 | ◎ 標準装備 | △ ベクターDB連携が必要 |
| 外部サービス連携 | △ ツール経由で限定的 | ◎ 500以上のネイティブ統合 |
| セルフホスト | ○ Docker対応 | ◎ Docker一発、機能制限なし |
| エンタープライズ機能 | ○ SSO等あり | ◎ SIEM・RBAC・監査ログ充実 |
| GitHubスター数 | 約144,000 | 約191,000 |
| 導入実績 | リコー、Volvo Cars等 | Huel、Vodafone等 |
ユースケース別おすすめ
カスタマーサポート担当者:Dify
社内FAQボットや顧客向けチャットボットを最速で立ち上げたい方には、Difyが圧倒的に向いています。ナレッジベースのアップロードからチャットUI公開まで、最短30分で完了します。
マーケティング担当者:n8n
Hubspotから取得したリードをChatGPTで分類しSlackに通知する、といった「既存ツール間の橋渡し+AI処理」が必要なら、n8nが最適です。
個人開発者・スタートアップCTO:両方
プロダクト本体のAI機能はDify、社内オペレーション自動化はn8nと使い分けるのが現実解です。両方ともセルフホスト無料版があるため、コストを抑えつつ並走できます。
SecOps/IT運用:n8n
Vodafoneの事例(脅威インテリジェンス自動化で£220万削減)が示す通り、セキュリティインシデント対応・チケット自動化はn8nの独壇場です。
非エンジニアの企画職:Dify
プロンプトを書きながらAIアプリを作る、という体験ではDifyに敵うツールはほぼありません。Marketplaceからテンプレートを取得して即カスタマイズできます。
実際に両方使ってわかったこと
Difyを使って良かった点
- 立ち上がりの速さ: アカウント作成から最初のチャットボット公開まで本当に10〜15分で到達しました
- RAGの精度設計が直感的: チャンクサイズ・ベクトル検索の設定がUIから細かく調整可能
- 日本語サポートの質: エラーメッセージから設定項目まで自然な日本語で、学習コストが極めて低い
Difyの惜しかった点
- 外部サービスとの連携は「ツール」プラグイン経由となり、n8nほど豊富ではない
- 有料プランの最低価格が$59/月と、個人利用にはやや高め
- クラウド版のメッセージクレジット制が、ヘビーユーザーには計算しづらい
n8nを使って良かった点
- セルフホストが完全無料: Docker Composeで5分起動、機能制限ゼロは衝撃
- 連携の幅広さ: Salesforce、Notion、Google Sheetsなど普段使うツールがほぼ全部つながる
- コードの自由度: 「ここだけPythonで書きたい」が叶うのは大きな強み
n8nの惜しかった点
- UIが英語のみで、初学者には最初のハードルがやや高い
- RAG・LLMアプリ「単体」を作るには、Difyほど洗練されていない
- クラウド版の実行回数課金は、想定外に膨らむケースがある
正直な所感
「対立するツール」ではなく「補完するツール」というのが私たちの結論です。AI機能の中核ロジックはDifyで作り、業務システムへの配信や前処理をn8nで担う——この組み合わせが最も実務的でした。
FAQ
Q1. Difyとn8nの一番の違いは何ですか?
Difyは「LLMアプリ開発に特化」、n8nは「業務自動化に特化(AI機能も搭載)」という立ち位置の違いです。AIエージェント・RAGを作りたいならDify、システム連携やワークフロー自動化が目的ならn8nが適しています。
Q2. どちらの方が安いですか?
セルフホストならどちらも無料です。クラウド有料プランの最安はn8nが約$24/月、Difyが$59/月からとなっており、入口価格はn8nがやや低めです。ただしn8nは実行回数課金のため、利用量によっては逆転する可能性もあります。
Q3. プログラミング知識がなくても使えますか?
Difyはほぼノーコードで使え、非エンジニアにも優しい設計です。n8nもノーコードで多くのことができますが、本領を発揮するにはJavaScript/Pythonの基礎知識があると有利です。
Q4. 日本語対応はどちらが優れていますか?
UIの日本語対応はDifyが圧倒的に優れています。n8nのUIは英語のみですが、データ自体は日本語を問題なく扱えます。「日本語UIで触りたい」ならDify一択です。
Q5. オンプレミス・自社運用は可能ですか?
両ツールともセルフホスト可能です。特にn8nのCommunity Editionは機能制限なしで完全無料、Difyも同様にオープンソース版が利用できます。セキュリティポリシー上クラウド禁止の環境でも導入しやすい点が共通の強みです。
Q6. AI機能はどちらが充実していますか?
「LLMアプリそのものを作る」ならDify、「既存業務にAIを組み込む」ならn8nが優位です。Difyはプロンプト管理・RAG・エージェントが標準装備、n8nはOpenAI・LangChainノードで既存ワークフローに組み込めます。
Q7. 個人で副業や個人開発に使うならどちら?
AI SaaSのMVPを作りたいならDify、個人の業務効率化や副業の自動化ならn8nです。学習コストを最小にしたいならDify、応用範囲の広さを取るならn8nを選ぶと良いでしょう。
Q8. 両方を併用することはできますか?
はい、むしろ推奨される使い方です。DifyをAPI公開してn8nから呼び出す、あるいはn8nのワークフロー結果をDifyのナレッジに流し込むといった連携が可能です。役割分担で運用するチームが増えています。
まとめ
こんな方にはDifyがおすすめ
- AIチャットボット・社内Q&A・AIエージェントを最短で作りたい
- 日本語UIで快適に開発したい
- RAG・プロンプト管理を一元化したい
- 非エンジニアでもAIアプリを構築したい
こんな方にはn8nがおすすめ
- 既存業務システムの自動化が主目的
- JavaScript/Pythonを書ける開発者である
- 完全無料のセルフホスト環境で運用したい
- セキュリティ運用・エンタープライズ要件が厳しい
どちらも素晴らしいツールで、用途が異なるだけです。迷ったら、まずは両方の無料版を1時間ずつ触ってみることを強くおすすめします。あなたのプロジェクトに合うのはどちらか、手を動かせばすぐに見えてくるはずです。
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